気楽にブログ
てんぱいから一言
「後輩をいじめてはいけない」
高校の後輩に、激辛カレーを面白がって食べさせたことがある自分が、言えたものではないのだが。

僕が中1のときのテニス部での話をしよう。
いつもは2年生が1年生のトレーニング指導をするのだが、その日は何故か、3年のO竹先輩が出てきた。「よし1年、今日は校庭で声出しだ!」彼は張り切って、僕たちを校庭へ連れて行った。
何でテニス部で声出しが必要なのかは謎だが、3年生が言うならやらねばならない。僕たちは「ナイッショー(ナイスショット)!」「一本先行ー!」など、力の限り叫んだ。野球部の奴らが苦笑いしていて恥ずかしかったが、気合を見せねばと張り切っていた。
O竹先輩は「もっと腹から声だせー」とかノリノリだったが、段々と飽きてきたようで、「だっふんだ」って言え、とか「お前の好きな子の名前言え」とか、段々と悪ノリしてきた。いやーそれはちょっと、と僕たちが渋ると、機嫌が悪くなってきた。
そうして、ちょっと気まずい感じになってきたとき、テニス部のS田先輩が、遠くを歩いているのが見えた。
するとO竹先輩は、お前ら、S田に「てんぱい」って言え、と言ってきた。S田先輩の髪は、いわゆる天然パーマで「天パ」と言われると激怒することを、僕たちも知っていた。「天パ」と「先輩」をかけて「てんぱい」は、「ものすごくおもしろい」と思ったが、さすがに恐ろしく、言うのは憚られた。
しかし、O竹先輩は「言え、言わないと終わらないぞ!」などと、僕らをけしかけた。「大丈夫、あいつが来たらおれが相手するから」とも言った。僕らは、なるほど、責任は取ってくれるのだなと思い、しかたなしに大声で叫んだ。
「S田てっんぱあーい」
次の瞬間、顔を真っ赤にして、S田先輩が僕らの方に走ってきた。
「まずい、ぶっ飛ばされる」僕らは恐怖で慄いた。でも、大丈夫だ、O竹先輩が何とかしてくれる。そう思った次の瞬間だ。
O竹先輩が、ダッシュでその場から逃げ去った。
呆然とする僕らの元に、真っ赤な顔で汗をたらした、S田先輩がやってきた。彼の赤鬼のような形相に、僕らは「終わった」と思い、羊の目で立ちすくんでいた。すると、S田先輩は息を弾ませながら「お前ら、どうせO竹に言わされたんだろう、ここはいいからコートに戻りな」と言った。そして、O竹先輩を猛烈ダッシュで追っていった。
「安堵」この言葉を、その当時知っていたか覚えていないが、当てはまる言葉は、この二文字だろうと思う。
容姿をからかわれるのは、中学生としては耐え難い(私も天パなのでよくわかる)。が、後輩には怒りをぶつけない。あ、先輩ってこういうものなんだな、と僕たちは知った。
先輩というのは立場が上だ。つまり、後輩に指図できる。その優位性が、その時の気分や周りの空気に乗っかり、時として理不尽なことが起こり得る。自分も、後輩に迷惑をかけたと思う。
でも多くの場合は、ある程度の範囲で収まる。(O竹先輩が逃げたのも、S田先輩が後輩をどついたりしないと、知っていたからだと思う。たぶん)
力があるからといって、無理を振りかざさない。それが、先輩としてのあるべき姿だと思う。そしてそれは、当たり前であって欲しい、とも思う。
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